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2014年 05月 22日
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16301914.jpg
EOSの高輝度側・階調優先とは、オンにするとハイライトの白飛びが押さえられる機能です。

(ご参考:過去にアップした関連記事など。
 ・RAW + JPEG
 ・高輝度側・階調優先とオートライティングオプティマイザー


下の画像は高輝度側・階調優先はオフのまま撮影したJPEG。(これ以降の画像はすべて拡大可能です。)
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1814253.jpg
赤くなっているところは、ハイライトが飽和し白飛びを起こしているのを示しています。

それに対し、高輝度側・階調優先をオンにして撮影すると、
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1823575.jpg
ハイライトの飛びが抑えられているのが分かります。

ただ、RAWで撮っていれば、高輝度側・階調優先をオンにしないで同時記録したJPEGが白飛びを起こしていても、Lightroomで開くと飽和警告が出ない場合があります。(上のIMG_0003-3.jpgと同時記録したRAW。)
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_15445131.jpg
最初に開いた状態で白飛びしていなければ、露光量、ハイライト、白レベルなどのスライダを調整することによって、ハイライトの階調をもっと描写することが出来ます。
一例として、ハイライトを-10、白レベルを-100にしてみました。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1556563.jpg
(注:ハイライトスライダを下げると全体のトーンが軟調になりやすいので、あらためてトーンカーブでコントラストを調整するか、あるいは全体調整を用いずに、補正ブラシでハイライトスライダを下げてディテールを出したい部分を塗った方が良いです。明瞭度を上げて塗るのも、ディテールを出すのに効果があります。)

さて、では上の画像よりもう1段露出オーバーなRAWデータならどうか。
先ほどの画像では、ウサギの頭に当たっている光量は、撮影時の絞り値(f11)に対して2段1/3(f22+1/3)ほど明るかったです。(露出計で計測)
もう1段オーバーと言うことは、撮影値に対してハイライトは3段以上オーバーということになります。
なので、Lightroomで開いた状態でも、ハイライト警告が出ます。
しかしその出方が、高輝度側・階調優先をオフの場合と、オンにした場合では出方が違います。

高輝度側・階調優先オフで撮影したRAW。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1692018.jpg

高輝度側・階調優先オンで撮影したRAW。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16104129.png
これから察するに、RAWデータの場合でも、高輝度側・階調優先をオンにしたほうが、よりハイライトの階調を残せるようになることが分かります。

それぞれを、ハイライト-50、白レベル-100にしてみると、

高輝度側・階調優先オフ。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16231736.jpg
ヒストグラムはレベル内に収まりますが、飽和している部分の輝度が下がるだけで、階調はありません。

高輝度側・階調優先オン。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16244561.jpg
完全ではないものの、こちらは階調が少し復活します。

では、どれくらいオーバーになっても、ハイライトのディテールを取り戻すことが出来るのか?
これらは高輝度側・階調優先をオンにし、露光量(ストロボの発光量)を1/3ずつ変えて撮影したものです。
最下段の2枚は、開いた時からハイライト警告はほとんど出ませんが、上の8枚は警告が出ます。
白枠の画像を基準にすると、左上の画像は3段ほど明るくなっています。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16525823.jpg

それらの画像に対し、Lightroomのパラメーターを変更してみます。(違いが分かりにくい場合は、拡大して見てください。)

白レベル-100。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1654955.jpg

ハイライト-100。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16545951.jpg

露光量-5.0。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_16553094.jpg


ハイライトスライダを-100に下げて、ディテールが回復するのは基準露出からプラス1段1/3の画像まででした。(中段左から二番目)
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_17111192.jpg
これ以上オーバーになると、ディテールはもう回復しませんでした。
ハイライトスライダや露光量スライダを下げると、ハイライトがマゼンタかぶりしてくるのは高輝度側・階調優先と関係がありそうです。
高輝度側・階調優先をオフにした画像で、露光量-5にしてもハイライトにかぶりは出ませんでした。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_17241534.jpg
(2段オーバーの画像です。)

ちなみにIMG_0006.CR2をCapture Oneで開いて、ハイライトを100(リカバリ量100という意味です)にすると、こんな感じ。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_1728514.jpg
こちらも少しマゼンタかぶりが出るので、やはり高輝度側・階調優先を設定したためかと思われます。


さて結論として、高輝度側・階調優先の効果はRAWデータでも有効だと思われます。
でも良いことばかりではなくて、シャドウの方が少し階調が悪くなります。
今回のテストはISO200で撮っているので、シャドウを派手に上げない限り差は目立ちませんが、高感度になるにつれ、高輝度側・階調優先をしない画像よりシャドウノイズが目立ってくると思います。
過去にも何度かテストして、シャドウの描写が悪くなることは実感してました。
ですが、カメラ自体も高感度特性が良くなり、高感度ノイズも少なくなってきたので、最近のカメラなら高輝度側・階調優先をオンにして高感度で使っても、以前ほどノイズが目立たないかも知れません。
これに関しては、後日確かめたいと思います。

以前から高輝度側・階調優先はRAWで撮影する時にも有効だろうと思っていましたが、ちゃんと調べたことはありませんでした。
EOS70Dで撮影していて、どうもハイライトが飛びやすいなと思ったので、Digital Photography Reviewで70Dのダイナミックレンジの評価はどうだろうと調べてみたところ、HTP(Highlight Tone Priority=高輝度側・階調優先)をオンにすると、かなりハイライトのレンジが伸びるのを知りました。(上記リンク先の最後の方に、HTPはどういう動作をしているのかという解説があります。日本語で「高輝度側・階調優先」を検索しても、なかなか技術解説したところがヒットしないので、参考になると思います。)

評価機種を他のEOS機種にカスタマイズし、キャプチャして高輝度側・階調優先のオンオフによるレンジ幅を比較してみました。
EOS Digital の高輝度側・階調優先とLightroom_f0075955_192454.jpg
これで見ると、5D3に比べて70DはHTPオンオフにかかわらず、1/3段くらいハイライト側が狭いようです。
(注:このレンジ測定は、JPEGで行われていると思います。)
それでもオンにすることによって、ハイライトのディテールはもう少し出るようになるだろうと思いました。
でも、この図が示すように、シャドウの方は若干レンジが狭くなります。
RAW現像時にシャドウを明るくすると、オフの画像よりノイズが目立つようになります。

今回は簡易テストなので、実際の撮影でハイライト、シャドウがどれくらい違ってくるかは、また改めて調べてみたいと思います。
今までも高輝度側・階調優先をオンにして撮影していることは何度もあるので、画像を探せば良いのですが、Lightroomのフィルターには高輝度側・階調優先の有無という項目はありませんし、DPPで画像情報を見ても高輝度側・階調優先の項目はありません。
(オートライティングオプティマイザーのように、RAWデータならあとから変更が可能なパラメータではないからだと思います。)
なので検索しようにもどの画像がオンになっていたかは、後からでは分からず・・・・。


今回はこの辺で。

by yukinyaa03 | 2014-05-22 19:37 | デジタル・フォト


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